慈眼寺 副住職ブログ

職人たちの夏②

夏の思い出そろそろ最後になって参りました。

9月のはじめ、梅田のraphaでマニアックなイベントがありました。

その名も「はじめてのオーダーメイドバイク」
我らが飲み仲間、アトリエキノピオ安田さん&「KUALIS」(クオリス)の西川喜行さんが「オーダーメイドバイク」をテーマにトークショー!
安田さんについてはさんざんここで書いていますが、西川さんについて。

西川さんはあの!「seven cycles」でビルダーとして腕を磨いたあと日本で独立された方なんです。あのセブンでっせ!

安田さんがイタリアンロード代表、西川さんがアメリカン代表ということで、お二人にオーダーフレームの醍醐味を語って頂くというマニア垂涎のトークショー!

これは安田さん応援団としていかねば!とラガメンからは店長と私と爆弾小僧が参戦。当日は最前列に陣取って安田さんを応援であります。

いつものraphaにいきなり安田さんのモックルがお出迎え!なんだか感慨深いものがあります。
さらに後ろに見えるのはプロロードレーサー三船雅彦さんが今年パリ~ブレスト~パリを走り切ったマシーンであります。
ちなみにパリ~ブレスト~パリ、略してPBPとは、ブルべの最高峰とも言える世界最古のサイクルイベントで、その名の通り、パリからブレストまでいってまたパリまで帰ってくるというブルべ。総距離は1200km!4年ごとに開催される、まぁいわばブルべのオリンピックですな!このマシンを組んだのが、他でもない今日一緒に来ているラガッツィの店長なんですよね。いや、コレってすごいことよ。安田さんと店長とみんなで店で宴会したりしてますが、よう考えたらメンツ濃いよホンマ。

しかし三船さん、この自転車で1200kmを40時間台で・・・。に、人間なのかそれは・・・。

ちなみにラガメンも今年のPBPに参加していたんです。惜しくも完走は逃したようですが、ブルべをはじめて一年でPBPって、とんでもねぇよ。

モックルの曲線美。

安田さんの与太話通り、「イタリアンロードは美女」だと思って見て下さい。

こちらがKualis cyclesのフレーム。チタンです。もうチタンのみ扱うようです。

コレもすごいフレーム。
ズッロさんとペゴレッティさんと安田さんの三人がコラボしたとんでもないレアなフレームです。売約済み。

そんなこんなでトークショー開始!

最前列で応援の三人ですが、よくよく考えると、三人とも既に安田さん経由でフレームオーダーしたやつらばかり。「はじめてのオーダーフレーム」の趣旨に全然合致してませんが、まぁいいでしょう。

安田さんの話はまぁ、我々、散々色々聞いてますのでいつも通り面白い。まぁ、公で言える範囲に抑えていたなという印象(笑)

個人的に新鮮だったのがKualisの西川さん。はじめてお話を聞いたのですが、とにかくマニアック!
安田さんはかなりのアーティスト気質なんですが、こちらは天才エンジニアという感じでしたね。

なにより、チタンパイプを、オーダー内容に応じて内径を削ったりしてる(!)と聞いてビックリしました。パイプメーカーに厚みをこれこれでとオーダーしてるだけではなく、自分で削って微調整しているそうなんです。なんという変態なんでしょう!

この二人はビルダー同士であると同時に、ペインターとビルダーという関係でもありまして、西川さんのところの塗装はほぼほぼ安田さんが行ってらっしゃいます。二人のコラボ作品はいつも安田さんのFacebookなどで見ているのですが、ものすごいクオリティです。

ここに展示してあったチタンフレームも、溶接痕がきれい!私が今までみたチタンフレームで一番綺麗でしたね。普通チタンは塗装しないことが多いですが、Kualisさんのところは塗装したモデルもあります。これまたオシャレなんですよね~。

トーク内容はやはり伝統を重んじるイタリアと、自由なアメリカンという対比もクッキリしていて、いいトークショーでした。あっという間に時間は過ぎて解散したわけですが、本当にKualisは気になりましたね。

もう僕ら、ロードバイクカタログとか見ても、もう一切ときめかないんですよ。

サーベロが新製品だそうと、スペシャが剛性〇%アップの新型を出そうと、

「へぇ~すごいね~」

と思うだけ。乗りたいとか、欲しいとか、思わないんです。タダでくれるなら嬉しいですけど。

でも、久しぶりに安田さんやズッロさんのバイク以外でほしい!と思ったフレームでしたね。アレはスゴイよ。ホント。

そういうわけでイタリアとアメリカの匠の話が聞けて、貴重な体験ができたトークショーでした。

いや~自転車って、本当に奥が深い!