慈眼寺 副住職ブログ

”お坊さんが乗っていい車”論争

ときどき比較的若いお坊さんと話すときに、車の話になります。

お坊さんの車って、難しいです。微妙です。

よく、お坊さんがディスられるときの常套句が、「あのお坊さん、外車乗り回してる」っていうやつ。

まぁ執着を絶って出家してんのに、なに外車乗ってんねん、というのはまぁ、至極当然ではあるんですが、あんまり文句言われ過ぎて、みんな戦々恐々としている部分はあります。怯えています(笑)

あ、もちろん私は外車なんか買えないのでそもそも乗ったことはないですが。←ここ重要。

さらにここに課税関係の問題もからみます。これは一般の自営業とも共通する話ですが、要は「経費」の範囲に入るか?という話。「仕事で必要」ということで経費で購入したフェラーリ、というのは、外車のディーラーとかならいざ知らず、お坊さんじゃなくてもアウト。お坊さんならなおアウト。こういう場合、経費が落ちるのは「国産中級まで」という暗黙の了解みたいなのが、ある、らしい。

で、盛り上がるのが「国産中級論争」

どこまでが中級やねん、と。

「カローラ」「今やったらカムリ」「ヴィッツ」などという無難な話をしていると、ギリギリを狙い始める人が出てきます。

「マークXが限界」「大きなお寺ならセルシオは昔セーフだった」「クラウンがマックス」

すると、「”いつかはクラウン”やで。全然中級ちゃうやん」、という意見も。今値段見たらクラウンめっちゃ高いんですね。全然中級じゃないですね。ベンツ買えますやん。「大きなお寺はクラウンギリギリセーフ」「大きいお寺っていうの、やめようや。泣けてくる。」どんどん話が変わってきます。

で、クラウンに話が行くと、必ず出てくる話が「レクサスは?」

「レクサス、ある意味外車やん」「結局トヨタやん」「大きいお寺はレクサスギリギリセーフ」「もうほんまヤメて!」

で、

「いや、ここまで来たら、外車買えるやん」

という話になり、「セーフな外車はあるか」という方向に話が進みます。

「ミニクーパーなんか、さっき出てきた車より安いやん」という至極当然の話がでますが、

「落ち着け。お葬式にミニクーパーでお坊さん来たら、どう思うねん」

という話で、だいたい鎮火します。

そもそも国産の新車やったら中古の外車の方が安い!と、いうことで、フィアット500とか、ルノーカングーとか、VWのPOLOとかかなりいい線いってる話でひとしきり盛り上がったあと、結局、

「軽が一番だよね~」

という話で終わります。私も軽です。最近は軽も高いですよね~。

ただ、お坊さんでときどき厄介なのが、ごくまれに、「いい車で来てくれないと困る」という謎のニーズがあること。

僕昔一回だけ経験あります。3万円で買ったボロボロの軽でお参りに行ったんですが、「うちにお参りにくるお寺が、こんな車で来てると思われたら、恥ずかしい」と言われて、非常に困ったことがあります。

まぁ今あんなこと言われたら、「じゃあ、マセラッティ寄付してください。」って言うと思うんですけど。まだ若くて「いや~すんませ~ん」ってお茶を濁してしまった自分が情けない(笑)

まぁそのあたりがウチのような小さいお寺と違って、大きいお寺は色々あると思いますので、「大きいお寺は〇〇セーフ」という独自ルールが出てくるのかなと思います。まぁウチはマメに洗車するくらいしか自衛策ないですけど(笑)

お坊さんは執着を絶って云々、という話、至極もっともではあるんですが、同時に、人がお亡くなりになって、すぐに直行しなければならないとか、お盆にたくさんお参りしないといけないとか、それなりに執着して急がないといけないこともありますので、とりあえず、バイクと車を使うことはご寛恕願いたい、というところで、ここはひとつ!