慈眼寺 副住職ブログ

ASTRA

先日、アストラを見てきました。

え・・・?アストラって、アレに!?

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違います。

レオの弟ではないです。太ももに鎖がはめられていません。

http://www.job-cycles.com/basso/collection/detail/roadbike-timetrial/astra/index.html

こちらです。はい、すいません。また自転車であります。

バッソといえばジオスと同じく、ジョブインターナショナルで取り扱われているメーカー。あまり一般の方には馴染みがないですが、価格帯としてはやや安めながら、堅実なモノづくりで人気のブランドであります。今回いつも鉄鉄チタンステンレス鉄と金属のことばかり言うてる三山木のラガッツィの店長がカーボンを仕入れたというので見にいきました。

しかしその前に、本日はスペシャルゲスト。
滋賀県は大津の石山寺の「茶丈 藤村」の店員さんで、そのスジには有名なお方が「特別牛乳飲みたい」とおっしゃったので、お連れしました。
そのスジの方ですので、当然車でくるなんてことはなく、当然自走であります。女性ですが、往復約100㎞の道のりも「いやいや、んなもん普通っしょ」という感じでやってこられます。ちなみにこの二日後には琵琶湖を一周する予定があるのですが、やっぱりそれも「いやいや、んなもん普通っしょ」であります。

これがその方の愛車。

なんと自作フレーム。

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女性がパイプの溶接から、ラグ付けに、塗装までほぼ自力でされたそうであります。ホイールはレーゼロ。コワッ!

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聖闘士のクロスのようなラグワーク。こんなん一般人ができるもんなんですなぁ・・・。

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気になったのが貴船神社の自転車お守り。
こういうの、開発したかったんですが、すでにかなり完成度高い形で実現していた。さすが有名スポット。実に女性の好みをおさえております。

牛乳だけではさすがにアレですので、また木色さんで食事。

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あいかわらずのおいしいランチでありました。12時前後だと満席です。人気店ですね。

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この方とは玉水橋でお別れして、私はアストラのもとへ。

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でましたアストラ。

予備知識を申し上げますと、バッソはモデルによって生産国が違います。上位モデルはかたくなにイタリア生産。さらに手間のかかる上に大量生産に向かないオートクレープ製法という巨大な窯を必要とするやり方で製造されます。それでいて値段はブランド名先行の大手よりかなり安いので、良心的ブランドだと言えます。どちらかと言うと、ロードバイクを家で飾ってプレミアム扱いするよりは、「走ってナンボやろ」と使い潰すタイプの人に人気で、ふだんあまり見かけないわりにレース会場では一定数見られるメーカーでもあります。そのバッソの上から2番目、イタリア製造のアストラがこのフレーム、なのであります。

なんとこのフレーム。店長の自転車でありながら、試乗用としてみんなどんどん乗ってや!という大盤振る舞い。そういうわけで、牛乳よりパンより、今日は楽しみにしてやってまいりました。

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ホイールはTNIの38mのリムで作った手組のカーボンホイール。こちらの感覚も楽しみであります。

とりあえず店に入って、「バッソ乗せて~」と言うと、「いま、K田さん乗ってるで」とのこと。先越された・・・。

K田さんは年齢は私の父親と同じなんですが、気持ちは若い方でカーボンロードでCRを駆け抜けてらっしゃいます。すこしだけ待ってK田さんのあとにいよいよ試乗!

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おほ~戦闘的!

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ディープリムだと本当に「レース機材」感が増しますね。このホイール、見た目は高そうですが、実はかなりお安い。

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フロントフォークが男前ですね。僕はこのフレームではここが一番好きかも。

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特に好きなのがこの角度。戦闘機材に乗ってる感がすごくします。

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さて、肝心の乗り味です。
貧乏性で試乗だけは死ぬほどしている私。高いカーボンと安いカーボンは乗った感覚ですぐにわかるつもりです。つもり。
で、アストラなんですが、高いカーボン特有の乾いた感触がバッチリあります。パキン!って感じで伸びていきます。軽いですね。フレーム重量は1kg未満。完成車で特に軽量パーツを使わなくてもUCIルール限界の6.8kgに接近します。

ホイールもあんななので、きっとバリ固なんだろうとビビってましたが、そこは手組。だいぶソフトに仕上げてあります。これならロングもいけると思います。いや、いけます。ブレーキもバッチリですし、カーボン特有の攻撃的ブレーキ音もさほどうるさくない。これでカーボンホイール所有の一番の理由である「見た目」を某有名ホイールの3分の1ほどの価格でゲットできるのですから、これはwiggle泣かせ。走りのグレードを上げたければハブなりスポークなりに注文つければいいわけですし。アリです。アリですよこのホイール。

ずっと金属マニアだった店長が急にカーボンに走ったわけはいくつかありますが、たぶん今店長がやたらと速いというのが最大の理由です。いやもちろん、元選手の最速店長とかそんなのとは次元が違いますよ。ですがこの半年毎晩夜に走って鍛えぬいた身体はすでに12kg減。メーカーの担当者に「病気?」と疑われるほどの仕上がり。それでいて筋肉は自作筋トレマシーンでバッチリつけてますので、このまえ一緒に風呂入ったら空手家みたいでした。いま、店の素人軍団で一番速いのではないでしょうか。そして、速くなると、さらに速くなりたいもの。そこで金属からカーボンにかえれば一発で大正池のタイムは2分くらい縮まっちゃいます。もはや平均くんを越えた領域におっさんが足を突っ込んでいます。

もちろん、選手としてどうこうみたいなレヴェルとは次元が違いますが、ホビーレーサーの40代のおっさんとしては十分すごい。っていうか僕ら中年その程度にすらなれないわけで、なれないのに緩んだ身体のままたっかいカーボンを乗ってる人がほとんどなわけです。だから「カーボンが欲しくなるっていうのは、このへんからなんやな」という一つの目安として、あのおっさんはちょうどいいと思います。

あの人本当に素直というか子供というか、「やっぱクロモリや!カーボンなんか要らんかったんや!」とか「選手でもないのに、必死で走ってもしゃあない」とか言うてた同じ口で、「やっぱりカーボンってええわ!軽さは正義や!」とか言いながら峠で屁ぇこいて一番でゴールして一日ニコニコしてたりしてます。こだわりの塊なんですが、こだわりに縛られていない。お世話になってる店長にこういうの何なんですが、ホントに子供。アホ。

僕、数年前に衝撃でしたもん。湧き水に顔突っ込んで、「うわ!めっちゃ冷たい!みんなもやれば!」とか言うて水かけてくる40代の店長を目撃して。メンタルが小学3年生。

でも不思議なもんで、「メンタルが中学生の大人」は終わってるんですが、「メンタルが小学3年生の大人」は許せます。たぶん僕は5年生くらいです。

そんなわけでバッソのアストラ。安くてギュンギュン走れるので、三山木で試乗してばんばん買ってあげてください。ディアマンテでもいいよ。