慈眼寺 副住職ブログ

ゆっくり、ゆっくりの、「福」

去年末12月22日の巨木ウォークの方々の記事を発見しました。

http://sakuraiwalk.jimdo.com/例会報告/12月22日例会/

私も知らない巨木がいっぱい奈良にはあるんですねぇ。近くにいると案外知らないもので、旅行者の方々の方が詳しいなんてことがよくあります。
逆に自分が旅行した時に「なんでこんなとこに来るの?」って言われたりもしますし、お互い様なんですねぇ。

それにしても、この巨木ウォーク、11キロを歩かれたそうです。
高校時代、27時間ぶっ続けで100キロ歩いたことありますが、11キロでも歩くとなるとなかなかしんどい。
自転車だと11キロはあっという間ですが、歩くスピードでしか見えないものもあります。
逆に車では見えないことが、自転車のスピードで初めてわかることもあります。

何事も最短距離、コストパフォーマンス重視、効率至上主義みたいなものがあります。インターネットで調べたら一瞬です。

ですが、実際に自分の足で、汗をかいて、雨や風に打たれながら経験したことは、それ自体が成功も失敗もない、それ自体として価値のあるものとしていつまでも記憶に残る気がします。身体が覚えています。

最短距離というものは、「これが最短だ」という観念だけを食べて満腹にする行為。
他人の尺度で自分を計るのと同じく、「いや、こっちが最短だ」と言われたら、途端に輝きを失う類いのもの。

コストパフォーマンス。
あっちのほうが安い、こっちのほうが安い、と別に必要ではないのに今だけ安いからという理由で、福袋に「安さ」を詰め込んで買い込む行為。それを毎年繰り返すことで、どれだけ豊かになるんでしょうか。「福」ってそんなものなんだろうか。安いことが節約を意味するなら、何も買わないのが一番安い。

本当の「福」は、1月1日に急にやってくるもんじゃなく、ゆっくり、ゆっくり、知らぬ間に訪れているものなんじゃないかなぁ。

この時期になると、毎年そんなことを考えています。