慈眼寺 副住職ブログ

世界一早い(たぶん)パワークッションエクリプションZレビュー

先日書いた、いつものように、ただただ自己満足を追求したバドミントンの記事。

日本のスポーツ用品メーカー考

このとき、「ミズノらしい履き心地のミズノシューズは絶滅危惧種」と書きましたが、その弱みにつけこんで、ヨネックスが投入したミズノ的低重心素足感覚系シューズの決定版「パワークッションエクリプションZ」がついに発売!

小さいサイズはかなり早くオンセールながら、男性の標準的サイズの投入はけっこう遅れましたが、入荷当日に行きつけバドショップから、

「先生好みのが入ったよ」

と、誤解を受けそうな連絡が!

急いでお店に駆け付けて試着です!

http://www.yonex.co.jp/badminton/shoes/power-cushion-eclipsion-z.html

これがその靴。
「安定性重視」とありますが、こういう表現は気を付けねばなりません。自転車でも「直進安定性がスゴイ!」とか書いてるもののなかには、「フォークに欠陥があって曲がれないッ!」ってやつも含まれております。

「安定性重視」というのは、これまでの「振動吸収重視」モデルとの対比で言われることです。すごく大雑把に言いますと、これまでのヨネックス伝統の厚底で重心が高い靴から、低重心で横方向の移動に重点を置いたモデルになったということ。おそらくその分振動吸収性は低下しているものと思われます。

が、副住職は膝が丈夫で全然衝撃なんか吸収しなくていいかわりに、足裏で地面を掴む感じがほしいタイプなので、この路線は大好物。今までこのニーズに応えるのがミズノしかなかったところ、本家のミズノがあっさりこの路線を縮小していたので、どうしたもんかなと思った矢先のヨネックスの新機軸。コレは完全なるミズノ潰し!と、勝手に深読みしてます。

とりあえず、選択肢は多い方がいいので、ヨネックスを12年ぶりに試着。

まずはインナーブーティー構造がお出迎え。これはここ数年ヨネックスが導入している、足袋や靴下のような、伸縮性のある素材で脚を包み込む形状です。つまり履き口が狭い。パワークッション03あたりから導入するも、新素材の耐久性が低すぎてすぐに破れてしまって苦情続出でした。その後試行錯誤して、三角形を重ねたような構造で強度を出してきた模様です。知らんけど!

そして何よりの新機軸がTPUサポート。バドミントンではつま先とかかとに滑りにくい素材を配置し、中央部は屈曲できる素材でまさに「地面を掴む」ような構造になっているのですが、この屈曲する部分のパーツを一体構造にして外側に大きく張り出す形状で配置しています。これにより外側方向の剛性がアップしたそうで、フットワークの力が外に逃げるのを防ぐようです。つまり足裏が地面を掴むために上下に折れ曲がるために、外側への力のロスを減らそうという試み、なのでしょうか。

最近は一切使用していませんが、以前は「ラテラルクロウ」という爪のようなパーツを外側に並べて、靴が外側にズレるのを防いでいましたが、全然実感がない上にちょっと痛いので、「これはきっと偉いさんとかが開発してメンツだけで残してる機能なんだな」と思っていました。最近は、靴全体を硬い樹脂で覆って靴の変形を防ぐ方向ですので、よりフィット性を重視する方向にどんどん進化しています。

さて、履いた実感ですが、

「とにかく中が狭い!」

最近は3Eモデルが増えてきて、自分がいかに標準的日本人から遠い足型なのか思い知らされている日々。完全Dワイズの足ですので、狭いのは大歓迎なのですが、甲もわりと高い方なので、ちょっと高さ的に狭さを感じます。簡単に言えばクーペ型の靴ですね。とはいえ、ギリギリセーフなレヴェル。おそらく一般の日本人には大きめを選択しないと耐え難い足型と思われます。

そして肝心の低重心ですが・・・

「ミズノよりさらに低重心!」

これよ!これを求めてたのよ!ヨネックスのお得意振動吸収に至っては、おそらくミズノ以下になったのではないかと思われます。少なくとも、これまでのような「安心感」のある靴底では全然ありません。

とはいえ、求める要素はすべて満たしていますので、即決購入であります。私に合うバドシューズは絶滅危惧種ですから。あったら抑えておかないと。

それではいよいよ実戦投入。

見た目は地味ですが、私の求める要素はバッチリ!ファーストインプレッションを裏切るものは何もなく、「ミズノよりミズノっぽいヨネックスシューズ」という私の勘はバッチリ当たっておりました。

唯一の問題点は下の写真の矢印の部分。

シューレースでガチガチに締めると、矢印の部分のみが浮いてしまいます。フットワークには影響ありませんが、のちのち耐久性に疑問がでてくる部分ではあります。

あ、もういっこ不満点を挙げるとすれば、インナーブーティ構造はいいんですが、履き口が狭いのに、かかとを広げるためのヒモのようなものがなく、非常に履きづらいです。逆にヨネックスをミズノがパクったウェーブファングゼロでは、かかと部分に引っ張りヒモがついてますので、パクリ返したらええと思います。

まだ、ガチガチの強い人とのゲームで使用していませんが、とりあえずこの日の使用では、丸2年使用している(現行個体は7か月目)のミズノウェーブファングRX2と比べても、より好み。

嬉しい誤算としては、久しぶりに履いたヨネックスは、中敷きも凝ってますし、作りも丁寧です。最近のミズノの露骨なコストカットには悲しい思いをしていたので、これは嬉しい誤算です。ヨネックスのバドシューズは、基本テニスでうまくいった技術を移転するのがほとんどですが、今回もこれまでの試行錯誤がすべて活かされたよい商品であると思われます。

と、ミズノをディスってばかりですが、私の本命はあくまでミズノ。今回は思い人に振り向いてもらいたいがための乙女の必死の抵抗と思ってもらって、丁寧に、ミズノらしい、いい靴を作ってもらいたい!ヨネックスの真似とかやめてほしい。

いつまでも「ミズノウェーブ」じゃないでしょう。新技術開発してよ。

このままじゃ、私、本当にヨネックスさんのものになっちゃうからねッ!