慈眼寺 副住職ブログ

星加坡(4) なくていい。

ようやくシンガポールネタが完結。

クラウドファンディングと節約と妹夫婦への寄生によってなんとか最終日くらいはシンガポール満開なことをしよう!ということで、副住職、思いっきり背伸びしてみました。

その前に、前日に屋形船みたいなのに乗ったリバークルーズの写真を。

 

↓草間彌生の展覧会をやっていたミュージアム。

ベタなマーライオン。

僕らの世代にはムテキングのネオトキオ」にしか見えない景色が続きます。

ムササビみたいにスティンガー部隊が降ってきそうですね。

大阪の道頓堀クルーズとは5ランクくらい違う美しい夜景のなか、いまやマーライオンを超えた「ベタなシンガポール」の象徴、それが・・・

コレです。マリーナベイサンズ。

実は最終日だけ、ここの一番やっすい部屋を予約しておりました。

お坊さんがなにバブリーなことやっとんねんとお思いかもしれませんが、正直もう二度とシンガポールなんて来ないわけです。それまでの宿泊代は極限まで抑えました。一番やっすい部屋だと一人1万円台で、日本のちょっと料理が豪華な温泉旅館くらいです。この場合晩御飯はないんですが。そんなわけで、最終日、泊まってみました!

これがちょうど船みたいな頂上部分を支える脚の一脚を下から眺めた写真になります。このように細長い富士山のようになって支えています。最上階は57階!ようこんなもん作ったな。

この超高層ホテルで、我々家族が泊まった最安値のお部屋はなんと・・・!

2階!

えっ!・・・み・・・民宿?2階ならウチにもあるよ!

そうなんです。富士山の一番すそ野にあたる広がったお部屋。一見広いけど、その実ほとんど無駄なベランダスペースで、庭木のせいで景色も全然見えない!みなさん!旅行会社で「部屋の広さと眺め、どちらを重視されますか?」と聞かれたら、迷わず「眺め」を!

おまけに2階は低すぎて、朝食バイキングのゾーンから丸見え。朝から耳をすませば「カチャカチャ」という朝の心地よいノイズが!悲惨!

さらに!おそるべし高級ホテル。泊まったことないから流儀が意味不明!

入ってすぐ、持ち込んだジュースを冷やそうと冷蔵庫を開けようとすると、開かない!なんで???無理矢理開けようとすると冷気だけひんやりでてくる・・・。

ダメもとでネット検索したらすぐに出た!

「マリーナベイサンズ 冷蔵庫 課金」

が検索候補に!「課金」???

よくよく読むとマリーナベイサンズなどの「高級ホテルでは、冷蔵庫はミニバーという位置づけ。中の飲み物を少しでも動かすと、係りの人がやってきて課金の対象になる場合があり」怖ッ!

ちょっと待って。じゃあ眺めは植木、部屋は普通(子供のためにベッドは動かせない)、晩御飯なしで、冷蔵庫ナシ(頼めば有料で貸してくれる)

俺、東横イン泊まるわ!

そんな叫びを上層階に向かってしますが、高いお部屋の人たちだけが入れるラウンジに届くはずもなく。

高級ホテルって、泊まった人すべてにいい気持にさせてくれるものだと思ってたのに、お金で色々と区別されて、なんだか虚しい。

しかし、このホテル、唯一差別なく楽しめるゾーンが!それは屋上プール!裸になったら同じ人類や!(たぶん!)

一度夕方に一回入り、雰囲気を楽しんだあと、夕食後にもう一度、寒い中行くあたり貧乏性がマキシマムですが、行っただけのことはありました。

なんだコレは。ソドムかゴモラか。日本人にはこれは無理だ。贅沢過ぎて目が潰れる。
ここで寝転がって酒飲むとか絶対無理。

しかしこの夜景・・・

確かにすごい。なんというか、バブル過ぎて、悪趣味なのは承知ですが、突き抜けている。たとえば梅田のスカイビルが外国人に人気ですが、じゃああそこにプールを作るという発想が、日本人にはできない。逆立ちしても無理。いいとこお風呂。露天風呂。で、余計な柵をつけて雰囲気台無しになると思う。

このプールの下に展望台もあるのですが、やはり展望台の景色とは段違いです。遮るものなくこの景色を泳ぎながら見れてしまうのはやはり格別。

特に泳ぐでもなく、このプールのへりでこの景色を眺め、「悪趣味だなぁ」と分かってはいても、何というか、「人類はここまでのことをできてしまうのか」という気持ちと、「こんなもん、ホンマに作ってええんか」というなんか畏れのような気持ちが湧きました。

別に誰に憚る必要もないはずなのですが、バベルの塔が実在して、そのてっぺんに立って、神の怒りが鉄槌を下すその日を思うような、そんな妙な気持ちがしました。

すごいけれど、この世に必要がないもの、そんな気がしました。

とはいえ、それも含めて、貴重な体験ではありました。

こうしてもう一生来ないであろうシンガポールを思いっきりベタに味わい、夏休みが終わりました。

こんなぜいたくをして、ヒルクライムなどまともに登れるはずもなく、案の定、神の裁きは地味に私のお腹まわりにじんわりとまとわりついて、大台ケ原の山を登るスピードを奪ったのでありました。

来年は富士山やね!