Raleigh CRS インプレ
ヤルッツェブラッキン!
鉄の悪魔に叩かれ砕かれ…。好きな邦画は実写版キャシャーン。仏教界のスクラップ、JIGENJI副住職です。
とか言うてますけども、さて、先日さんざん写真撮りまくったラレーCRSのステンレスフレーム、試乗するチャンスが巡って参りましたッ!
ステンレスフレームは以前一度だけミュラー製のステンレスに試乗させていただきましたが、キビキビしたレーシーな走りが楽しかったのを覚えています。さてさて今回のラレーのCRSはどうでしょうか~。
今回も試乗は京田辺のラガッツィさん。フレームの詳細はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/Ragazzi/
なんと試乗用に!こんな高級フレームをおろしちゃったわけですが、単に自分が乗りたいだけ・・・ではありません!(きっと)その理由はのちほど明らかになります。
アクセントがほしくてレザーの朱いレザーのフレームガードがついてます。手作りです。いいですねぇコレ。
これ、赤というより朱なので、初めて見た時から「朱い!」と表現しています。
日光でRALEIGHの文字が完全に消えますね。もはやただの鈍色(にびいろ)。アルテグラと一体化してます。
なんかこのフレーム不思議とシマノが合いますね。
チェーンステーにも黒いレザーパッド。ここまで朱にするとうるさいからちょうどいいですね。
ところどころに入ってる朱はわざわざ入れたものですね。
主なパーツはリッチー。ここの店長リッチー好きですからね。
以下、手作りでパパッと作ったレザーパッドを拡大撮影。
いやぁ。無駄に手の込んだ試乗車ですねぇ。
さて、注目のインプレです。
めっちゃいい!コレ!めっちゃいいよ!
実に好みの乗り味です。
剛性感がちょうどいいアルデンテ!硬い。硬め。だが、許容範囲。
重量はそこそこあるんですけど、それを感じさせません。そしてカーボンのように軽すぎない。
実にちょうどいいところにおさまってます。
まぁそれは手組のスポーク数の多いホイールのおかげでマイルドに角が取れているというのも十分ありそうですが。
それにしてもよく走る。キビキビ走る。これはレース向けです。
おまけにちょっと坂を登りましたがよく登る。ここもキビキビという表現があてはまります。金属の重さは感じません。ほぼ鉄と同比重のはずですが。
同じくミュラーのステンレスはもうちょっと硬い印象でしたが、どっちかというと、同じミュラーのレイノルズ853を使ったフレームとよく似た感じ。カーボンっぽい反応もしますが、カーボンほど乾いてないといいますか、ちょうどよい硬さで、若干の粘りもあり。レイノルズ853は聞くところによると薄いから普段使いに向かないのと、やれるのが早くて1年で使い切るシリアスレーサー向けの機材ということですが、こっちはもうちょっと耐久性ありそうです。
今の愛車がノンビリロングライドを想定して組み上げてもらいましたが、これが候補に入ったらそれなりに悩んだかも。
さてこのCRS。
検索しても、褒めてるのは自転車屋さんだけ。
実際に購入した一般ユーザーがぱっと見、見受けられません。もちろん発売間もないこともありますが、これはこのフレーム独自の性格もあるかと思います。
まず、シリアスレーサーにとっては重くて、カーボンでええやんとなる。
ビギナーが最初からステンレスを選ぶはずがない。価格もビギナーには高すぎる。
クロモリ懐古ファンには近代的過ぎて魅力がない。
そうすると、これを買いたがるユーザーは・・・
①さんざん自転車に乗ってるけど、レースにもでないしという人・・・自転車屋さん
②レースに出るが、カーボンが嫌いという偏屈者・・・あ、そういう人、一人知ってる。
③とにかく非鉄金属が好きな変態
というあまり一般的なユーザーではない人対象のニッチな市場になります。
そういう人にとっては、「こんなステンレスフレームがこの値段!?安い!」となってしまいます。実際ステンレスを他のメーカーで買うとこの倍はするのではないでしょうか。
シリアス方面に振った人はコンポをアルテorデュラにして、フォークをenveなどに変えたらもうバッチリバリバリの武闘派になりそうです。
一般の人は105で十分。ホイールもこの例のように手組でロングライド用に乗り味をマイルドにするのもありあり。ゾンダクラスでも、というより、ゾンダあたりのホイールが至高な気もします。
一般ユーザーでも十分このフレームの加速の楽しさを味わえて、なおかつロングでも使えると見ました。
でもさきほども言ったような理由で一般ユーザーはいきなりコレに手を出しにくい。
だからこそ、ここの店長はいっぺん乗ってみてよ!と試乗用におろしたのでしょう。
ロングライド向けに使えるかどうか実験するためにわが身を犠牲にして敦賀まできっと乗るんでしょう。
いいんです。WIN&WINやで!
ラレーの最高級モデルを実際に試してから買える。これはかなり美味しい。客側がおいしいと思うんですよね。
あ、そうそう。この自転車がおススメなユーザーが他にもいました。
自転車と言えばイタリアが本場。バリバリのレースの最新機材はアメリカが今ノッてる。
でも、ツイードを着てツイードランしたいような人。いますよね。
出典bmwna.exblog.jp
こういう人。
こういう人にとって、イギリス風味(あくまで風味)を感じることができて水準以上の販売力を持つマス・メーカーはもはやラレーのみ。
そのラレーの中でもバリバリの武闘派で、「その気になれば走れる」という余裕。コレ、カッコいい。
「その気になれば走れる。(でも走らない。)」イベントで一人だけ必死とか見苦しいですから。
しかもシートステー部など要所要所にめちゃくちゃ見にくいけどユニオンジャックもバッチリ入ってます。他人からはほぼ見えません。
いいんです。こだわりなんてそんなものです。それを無理にアピールすると下品なんです。
そもそもステンレスだろうと64チタンだろうと、325チタンだろうと、レイノルズ853だろうと、コロンバススピリットだろうと、99%の人からすれば「なんか銀色の細い自転車」です。ロード乗りでさえ事情は同じです。すれ違うときにはただの地味な自転車。
でも本人がよければいいじゃないですか。自己満足上等です。
っていうか、満足って、結局全部自己満足じゃないですか?
そういうわけで、このCRSに限らず、雑誌で紹介されてるから、とか、ツールドフランスにでててなんか速いイメージだから、とか、漫画のキャラが乗ってるからとかいう漠然としてしかもよく考えたら自分とは全く関係ない理由で自転車選ぶなら、ちゃんと自分で乗ってみて、そんで本当に自分の用途に必要なものを買うのって、素敵じゃないですかね。
副住職的にはこのCRS、めっちゃいいと思いますね。買いですね。これを買った誰かの愛車になる可能性は高いと思いますね。隙がないうえに発展性がある。
でも帰り道は自分の愛車に乗って「やっぱお前だよな~」って思いましたよ。
それが愛車ってもんですよネッ。