慈眼寺 副住職ブログ

なぜ「2月は逃げる」のか?

さて、「2月は逃げる」の言葉通り、あっという間に2月は過ぎまして、今日から3月です。

今年の二の午大祭は3月7日(土)に行います。朝8時から夜7時までです。秘仏聖観世音菩薩の厨子が開帳されますのは今年はこの日だけとなります。みなさまふるってご参詣くださいませ。

 しかし28日しかないと焦りますよね。月間売上げとか算出している人にとってはちょっと目減りして焦るのではないでしょうか。私も自転車の月間走行距離が少なくなって困ります。旧暦2月、現在の3月はここでも散々述べましたように、新しい春のはじまりの時期を意味します。実は西洋のユリウス暦のさらに前の暦では、3月から一年が始まる(そして12月で終わる。冬にあたる1、2月はなかった)ことになっていました。そして現在の暦法のもととなったユリウス暦から、ほぼ現在の日本でも採用されている新暦が出来上がります。ユリウスとはもちろんジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)のことです。当時の暦では奇数月の大の月(31日)と偶数月の小の月(30日)の日しかありませんでした。つまり、2月は30日あったのです。カエサルは、暦のしくみを大きく変え、それまでなかった1月と2月を暦に加えたので、ズレが生じました。つまり、September、October、November、Decemberはすべて7、8、9、10番目の月という意味です。セブンとSepatember近いですよね。オクタゴンっていうのは八角形のことです。9のnovumはあまり有名ではありませんが、陸上の10種競技をデカスロンといいます。現在はそれぞれ9月~12月になっていますから、2つづつずれているわけです。これはカエサルの変更のせいです。さらに彼は、自分の誕生日のある月にIulius(ユーリウス)と自らの名前を付けました。Julyの元です。ちなみになんでIなのかといいますと、古代ローマ人がアルファベットを受け入れたとき、Jの文字はありませんでした。それで、IとJは兼用で使われていました。キリストのことを別の言い方をすると「ジーザス:Jesus」と言いますが、歴史の授業で「イエズス(Iesus)会」と習うのと同様です。カエサルは自分の名前をつけた月が小の月であることに我慢できず、30日あった一年の最後の月の2月から1日をとって、7月に加え、7月を大の月にしました。

さらに2月の不運は続きます。カエサルのあと皇帝になったオクタウィアヌスは、元老院から「尊厳者」の意味を持つAugutusという称号をもらいました。そして彼は自分の生まれ月である8月の名前をAugstusに変更しましたが、そうです。8月は偶数月。小の月なのです。彼もそれが我慢ならず、2月からさらに1日をとってきて8月に加えました。「オクタウィアヌス、お前もか!」と言いたくなります。いじめです。二人の番長に完全に2月はターゲットにされています。こうして、ややこしい不規則な日数の並びが出来上がりました。二人の皇帝も、まさか、極東のはてで「ニシムクサムライ」などというワケのわからない呪文で覚えられる日が来るとは思わなかったでしょう。そして散々いじめられた挙句、さすがにかわいそうなので、2月は4年に1回だけ1日もらえるようになりました。そんなわけで、色々複雑で、かわいそうな経緯で、「2月は逃げる」のです。おかげで私たちは初午が終わってホッとして「二の午までひと月あるな」なんて思うのですが、その「ひと月」が1年で一番短い「ひと月」で、あっという間に「逃げて」しまい、「ああ、もう二の午なのか!」と焦ることを毎年繰り返しているのです。観音様とはまったく関係のない、ローマ皇帝のせいで!

そんな短い2月ですが、おかげさまで、当HPの訪問者数は月間2000人、PVは1万PVを突破しました!皆様のおかげです。3月7日が過ぎるとオフシーズンですので、全然ヒットされなくなると思いますが、今後とも慈眼寺HPをよろしくお願いいたします。