慈眼寺 副住職ブログ

鎖国宣言!

ずっと娘が「ABC習いたい!」と言っておりました。

彼女の言う「ABC」とは、英会話のこと。
NHKの「えいごであそぼ」を見せていたところ、英語に興味を持ち、アルファベットをお経のように覚えて、とりあえずどれがどれかはわかるようになっている模様。数詞も1~10までなかなかいい発音で読む。行かせてみようかなと思ったところ、覗いた英会話教室の日程と都合が合わず、断念していると、今度はディズニーの英会話教材の無料販促DVDをどこからかもらってきてひたすら見はじめました。

これがもう!怪しい!夜の通販のダイエット商品のように怪しい!まず起用されているタレントが小倉優子と梅宮アンナ!

小倉優子といえば、あの「焼肉小倉優子」事件のときから、なぜか怪しい企業に利用され続けてきたひと。今度はママタレとして一時成功したときに出演した模様ですが、言わされてる感たっぷりの心の籠らない販促トークの虚無感がものすごい。梅宮アンナは通販番組の常連なのにも関わらず、プロ意識のかけらもないけだるい感じが相変わらず満載で、「頑張ってるけど報われない」ママと、「頑張ってないから報われない」ママが絶賛推薦のDVDになっております。

「成功例」とされる英語堪能キッズたちも、ええ発音を「どや!」と言わんばかりの表情で披露し、「ディズニー英語のおかげでこんなに充実!」をアピールする親子の姿に、なんだか正視に堪えないカルト的なサムシングを感じてしまい、個人的にはものすごいストレスを感じます。

正直、英語は話せるようになれればそらそれに越したことはないとは思うのですが、あんなキッズには育ってほしくない私。「別に英語なんかせんでええよ」と言っていたのですが、やりたいのにやらせないのも申し訳ないし、小倉優子の言うことは聞きたくないし、先日、近所の英会話教室を娘と二人で覗きに行きました。

以前覗いた教室では、いかにもな「私英語話せます!」という自負が鼻の穴からにじみ出ている「自称キャリアウーマン」みたいな女性が対応してくれたのですが、今度の教室は自然な感じの女性でした。「ディズニーの無料DVDをアホほど見てます」と言うと、「アレはいいですよ!他社ですけど!」とのこと。ごめん!小倉優子!イメージで判断してた!(なお、梅宮には謝らない)

前の教室は事務の人がとにかく住所や連絡先を聞き出そうと必死だったので、「来たかったら来るから余計なことは聞かないで!」とアメリカナイズされた意思表示でハッキリ言いたいことを日本語で伝えましたが、今度のところは必死感がゼロなのでますます好印象。

奥さんにも好感触で、数日後、奥さんと娘が体験に行きました。私も行きたかったのですが、仕事で断念。

当日、娘の盛り上がりぶりはものすごく、幼稚園でも先生に、「今日わたし、ABCいくねん!」とものすごいアピールをしていた模様。そのまま帰り道に英会話体験に・・・。

その日、仕事を終えて玄関にくると、中から私の足音を聞きつけて、駆け付ける娘。ああ、きっとすごい楽しかったから、その報告だな、と思ってドアを開けますと、娘が「いま、私が作ってん!」と折り紙でつくったキャンディーを渡されます。アレ?

「ABCどやったん?」

と聞くと娘は無視

え・・・・?なにがあったの?と奥さんに聞くと・・・

 

私は行ってないのですべて奥さんからの話ですが、この日の無料体験はフィリピンの方だった模様。最初は日本語も交え、遊んだりしながらコミュニケーションを取り、実力や発達をはかったところで、「じゃあ、授業形式にしましょう!」ということで、奥さんが横にいる状態でスタート!

ここから授業はオールイングリッシュ!指示も歌も褒めるのも全部英語。

さぁいっしょに歌おう!とか、ゲームのようなことをして遊ぶだけなのですが、なんだか娘の様子が変。

奥さんが、心配して見ていると、娘はときどき不安そうにママのほうを見つめ、何やら必死で我慢している模様。

ずっと見守っていたママが、さすがにおかしい、と、「どうしたん?」と声をかけると、娘が奥さんにしがみつき、号泣。しかも嘔吐しかねない号泣っぷり。

要は、さっきまで日本語で話してくれた先生が、突如訳の分からない言葉で話し始め、100%わからない言葉でずっと話しかけてくるストレスに、押しつぶされた模様。

娘も見よう見真似で答え、先生も必死で褒めてくれるのですが、褒めてくれるのも英語。最初は「モノマネすればいいのかな?」と思って真似したところ、会話になってないので、向こうは「そうじゃないよ~」と優しくいうのですが、分からない言葉を真似したら、分からない言葉で訂正されるという悲惨な状態(笑)

こうしてママにしがみついて一切離れない娘の様子を見て、体験を切り上げて帰宅したのでした。

「お友達がいると、きっと楽しいよ。頑張ったら分かるようになるよ」

と言うも、娘はかたくな拒否。そして一言。

「わたし、がいこく、一生行かん」

まさかの鎖国宣言!(笑)

英語挫折したアホな中学生みたいな主張ではありますが、なかなか笑えました。

個人的には、別にLとRが発音できなくてもいいし、英語がただただ堪能になって、肝心の話す内容が空っぽだと、一生懸命練習して「アホな日本人」が「アホなアメリカ人」になるだけなので、何の意味もない。どう話すか、ではなく、何を話すか、が重要だと思っているので、別に鎖国してくれてもいいんです。内発的に英語が必要な状況があれば使ってくれればいいだけの話。

とはいえ、英語に対するトラウマみたいなものを作ってしまったらそれはそれで申し訳ない。

どうもお山の大将気質で、すごいねすごいねと褒められてないとダメな、鶏口牛後でいう典型的な「鶏口」タイプの私の遺伝子を完璧に受け継いだようなので、ぬる~い日本人が、「ジスイズアペン!」とか言うてるだっさい英会話スクールを探して、何一つ身につかない無駄な月謝を払ってやろうと思っています。