慈眼寺 副住職ブログ

不景気ですね。

色々不景気な話を聞きます。
アベノミクス?なにそれ?新しいお好み焼き?

「コピー機が売れない 名門リコーの袋小路」

ウチもリコーさんのコピー機をリースで使っているのですが、最近ココの会ったこともない遠くの営業さんから電話がかかり、「コピーの調子どうですか?」まではよかったのですが、本題は新規事業の売り込み。

一気に心が冷えました。

営業力が売りの会社ですが、それならば、マメに足を運び、コピーの調子を確認して世間話でもして顔を覚えてもらうのが営業の本道。こんなのまるで「NTTの子会社」をかたって「電話代安くなります」みたいな仕事をする有象無象の詐欺会社じゃないですか。あの会社もこんな仕事をするようになったのか・・・と残念でなりません。大変なのは分かるんですが、そういうときこそ、従業員や客、すなわち「人」を大事にしてほしいな、なんて言ったら理想論だと笑われますか。昭和世代の浪花節ですか。

そもそもコピー機自体が既に企業では死滅しつつある産物。ファックスは電報的な存在としてなぜかしつこくほぼ日本だけで生きながらえていますが、コピー機はコピー会社自体が複合機を売りたいがためにどんどん自分の首を絞めたところがありますね。複合機っていうのはかえって使いにくい存在でして、デリケートだから一つの機能がダメになると他にも影響してくる。パソコンとの接続のせいで余計な手間もかかる。「ただただコピーする頑丈な機械」というのはなかなか得難いものなのですが、それだと両方残さないといけない。結果、タブレット端末というもので「プリントアウトしない」という選択肢がでてくるわけです。これはこれで昭和世代には使いにくい上に、物理的に存在しないから忘れてしまいます。

教育現場なんかはまだまだ一般企業に比べてものすごくアナログなので、まだコピーや印刷機が活躍していますが、タブレット端末を配布する学校もどんどん出てきていますし、電子黒板もあたりまえになってくると、ますますコピー会社の生き残れるのは、いつまでもアナログなおじいちゃんが仕切っている中小企業やお寺、ということになります。その大事な顧客にまた新しいものを売り付けてなんとかしてやろうなんて浅い商魂見せちゃうのは、全然「利口」ではないですよね。

日本中不景気でどんどんいろんな会社が新規事業を立ち上げている時代。まぁ人が減ってるうえに多様化してるわけですから、当たり前といえば当たり前。人が減れば、一人当たりの負担も増えていきます。いわゆる「ブラック」の話。その波がついにお坊さんに。

「僧侶に時間外賃金 700万円未払い」

まぁねぇ。デリケートですよね。

お坊さんの世界なんて、基本ブラックで当たり前というか。じゃあ千日回峰で労災下りるのかとか、朝のお勤めは業務に入るのかとか、師匠と弟子は雇用関係なのかとか、そもそもお坊さんは「仕事」なのかという問題があるんで、非常にややこしい。

こういう本山職員みたいな雇用関係だと、書面が残りますので係争の対象になりやすいですけど、たとえば副住職の私と住職の雇用関係なんて言い出せば、親子だし、師弟だし、宗教だし、という司法が口出しにくい状況がテンコ盛り。そこに地方の「しきたり」なんてものまで出てきますから、もはや横溝正史の世界ですよね。まぁしかし、お坊さんも生きている以上は必ず法律やお金の話に絡めとられる部分はありますので、結局こういう問題も出てきます。結局本人がそれでよければOKなのですが。

なんて言いますか、最近なんかあったらすぐブラックという話になりますけど、なんでもかんでも白黒の二元論でハッキリさせちゃう時代だからどうしてもこうなってしまいます。でも、そんな「白黒」って、実は「個人の主観」という、コロコロ変わる得体の知れないもんが決めてるわけで。嫌だったら、全力で逃げればいいわけだし、ブラックなところで学べることってすごい多いし、そしたらそれってブラックじゃないよねってことになりますし。言葉が一人歩きするのは本当に恐いっていうかバカバカしいですよね。

今日は「不景気」をキーワードに、お坊さんの目からとりとめのない話をしただけになってしまいましたが、仮面ライダーの話よりはマシか。