慈眼寺 副住職ブログ

冒険しても、いい頃

自転車日記になります。

奥山TTは一向にタイムが縮まず。体重も減らず。「これがベストなのでは?」などと言い訳の虫が騒いできたところであります。とりあえず、地道ながら筋トレの必要性を痛感しております。一度腰を痛めてから休んいたので、再開しなければ。

トレーニングばかりでも気が滅入るし、そもそもお気楽自転車乗りの基本に立ち返り、昼からちょっとだけ遠出して楽しくサイクリングしてみよう。そう思い、先日午前の仕事のあと、サイクリングしました。春休み終わったらもう乗れないし。

ちょっと冒険、してみるか!

候補は二つ。花脊峠か、善峯寺か。

時間的に余裕を持って帰れるのと土地勘があるのが後者ということで、行ってみました!善峯寺!

まずは木津川沿いのCRをひたすら北上。流れ橋を越えて、御幸橋に。すると見慣れない建物が。

でました。「さくらであい館」。

サイクリストがしょっちゅう通るくせに何もなかった御幸橋に今年できた休憩所です。だいぶ前から我々の間で話題になっており、ようやく完成!という感じ。桜の名所で三本の川が合流するこのスポットを盛り上げようということでできたようです。展望台まであります!(有料)

サイクルハンガーには平日なのにどっさり自転車が。

中は広々としたシックな立派な箱モノ!他人のお金なのでふんだんに使っております!(笑)中にはお店もありましたが、平日だからかお休み。うどんとか食べられたらいいなぁ。

天井も広々!木のぬくもりがまるで森〇学園のよう!場所は八幡市ですが、予算的には結構な数の自治体と国土交通省が絡んでる模様。流れ橋にある四季彩館との棲み分けとかいろいろ気になりますが、きっと色々なドラマがあってできてる建物なんだろうなぁ。

ジュースの自販機なりあれば嬉しいのですが、中の売店との兼ね合いとかあるのでしょうか、見当たりませんでした。休日にはマルシェなども立つようで、サイクリスト以外にもにぎわいそう。奈良でも旬の駅というところの人気ぶりがものすごいですから、楽しみではあります。しかし人気が出たら出たで、このへん道が混むので、そのへん渋滞とかも起こりそうで悩みどころですね。我々はいい集合場所ができたーで終わりですが。ありがたやありがたや。

サクッと見てさくらであい館を後にして、そのままCRを出て、一般道へ。

まっすぐ善峯寺へ。

・・・向かうハズが、ちょっと道に迷ってしまいました。京都縦貫道できてからの道がちょっとよく分かってないんですよね。とりあえず、こっちに「柳谷観音」って書いてるからだいたいそっちだろ・・・と進みます。

こんなものを発見!飛び出し坊やですが、オリジナル仕様!

コレ、カンフー衣装じゃないですよ。お坊さんレーダーに引っかかるものがあります!

やはり!「寄贈 柳谷観音」!この服装は作務衣ですね!レアだな!でも、お坊さんしか作務衣だって分からないよ!
袈裟とかじゃダメなのか。職員っぽさが出過ぎてて、分かる人にしか分からないッ!

そのまま縦貫道をまっすぐいけばいいのかな・・・と進んでいくと、見たことのある光景が!アカン!コレ!柳谷観音についてしまう道!まっすぐ行ったら大阪10区に侵入してしまうので引き返します。

こうしていったん長岡京市街方面に戻ります。ちょっと戻ると、見慣れた光景に。そうなんです。慈眼寺は西山浄土宗のお寺。本山の光明寺はこのあたりですので、若い頃さんざん来たところであります。お腹が減ったのでこのあたりで食事をお腹いっぱい食べ、本山に。

身内びいき満開ですが、普段は拝観料要らない(紅葉の時期のみ有料)のに、すごくいいお寺なんですよ~。これほどの大伽藍で無料というのはなかなかないかも。境内も広々として、静かで落ち着きます。ここが法然上人の「お念仏」の最初の声が響いた場所だというのもうなずけます。紅葉の名所で有名ですし、時代劇の撮影にもよく使用されます。「あずみ」で上戸彩も来たところです。

ですが今回はここは通過点。少しだけ直進し、脇道に入ります。

竹林が美しい。このへんは竹の子の産地です。別に嵐山行かなくても京都らしさなんて至る所にあります。

竹林を抜け、いよいよ善峯寺へのヒルクライムが始まります。
「関西ヒルクライムTT」のページでは、「善峯寺後半」Sランクに属し、最大斜度30度!

「道幅がきわめて狭いので注意。フェンスもない。激坂は無理だと思ったらこける前に自転車を降りること。

などというめちゃくちゃ怖い注意書きが書かれており、めちゃくちゃビビってしまいました。付近に住む自転車乗りのお坊さんには「前半もきついけど、後半はもっときつい。道は言うほど悪くないけど、落石だけ注意」などとまたまた怖い話。

ビビりつつ前半を登ります。

うん。普通。どうということはないですね。なんでヒルクライムに分類されてるのか分からないくらいに。短い大正池前半という感じ。さっき食べたお昼ご飯でお腹がいっぱいですが、なんなくクリア。

さて問題の後半。当初、お腹も苦しいので前半が終わったら一旦休んで後半にトライ!と思いましたが、なんだかいけるっぽいのと、タイムにこだわらずゆっくり完走目的で登ってるので、そのまま行った方がいいやろ、と思いまして、休みなく登ります。

で、後半・・・。

後半スタート直後から斜度がぐっと上がります。もはや正規の道路ではないのでは・・・?と思える細い道。車では絶対行きたくありません。「道が分かりにくい」と書かれていたのが不安でしたが、間違えそうな道にはことごとく「善峯寺敷地。関係者以外立ち入り禁止。監視カメラ作動中。」と大きく書かれているので「あ、そっちじゃない方ね」と分かりやすい。

そしてしばらくいくと・・・。でました!コンクリート舗装!コレが出てきたら要注意なんだよ。えぐい斜度が待ち構えます。このクラスの斜度の怖いところは後輪加重にすると前輪が浮いてしまうこと!なかなか一般の方には経験がないと思いますが、坂がきつくて立ち漕ぎなどをして重心を後ろにすると、前輪が浮いて後転してしまいそうになるんです。これが怖い!かといって、前に重心をかけすぎると登れないですし、結果、「後輪に体重をかけつつ、浮こうとするハンドルを腕の力で抑え込む」という、「なにそれ、波紋の修業か何か?」と言いたくなる複雑な身体技法を駆使する必要があります。

身構えて激坂に挑みます。

ですが、すぐに「ん?言うほどか???」と感じます。

確かに斜度はすごいんですが、激坂区間が何度かありますが、どれも短い。数メートル程度です。この距離なら緩んだ時に力をためて、一気にトルクをかけて登れば押し切れます。休む→押し切る→休む→押し切る、という感じで全然いけます。おまけにある程度見晴らしもいいので先が予想できるのもいいです。「曲がったら目の前に壁」というのが一番絶望的ですので。

やはり海住山寺を経験してますので、そこに比べれば全然楽です。海住山寺の場合は激坂区間が直線的で長いですから。アレはキツい。鉢伏の80号じゃない方の茶畑区間も同様にキツいですが、アレが3,4回連続してくるのが海住山寺の凶悪さです。(※あくまで自転車乗りの道路に対する感想です。)それに比べたらこの手の九十九折はごまかしが利きます。しれてんなぁ~。

そういうわけでKOM到達。いけるいける。タイムは言いっこなしね!

さて、来る途中に「三鈷寺」という標識を見つけましたので、そちらへ立ち寄ってみることにしました。ここの住職さんがガチの自転車乗り。この日おそらく不在であろうと思いましたので、とりあえずお寺だけ外から見させてもらうことにしました。

しかし恐ろしいのは、三鈷寺への道のほうが実は斜度がスゴいということ。下りがえぐいので押して歩いてしまいました(笑)最難関はココかもしれない。ちゃんとつけるのか・・・と不安になるころ、山門につきました。

写真が暗くてすいません。携帯のカメラだったもので・・・。

「三鈷寺」さんは非常に由緒あるお寺でして、特に我々西山浄土宗にとっては聖地とも言うべきところ。西山証空上人がこの地を不断如法念仏道場としたのが西山浄土宗のはじまりですから、我々の宗派の生まれた場所とも言えます。

一般の方にとっては京都一の眺めの場所!と断言できるでしょう。将軍塚の大舞台も有名ですが、見える範囲の広さで言えばまさしくここが京都平野一望。夜景も見たいけど、夜ここに車で来るのは無理過ぎる。ここの住職さんの特権ですね!見飽きてるか(笑)

これまた携帯撮影なのが残念です。でもまぁカメラぶら下げて40キロ以上も自転車こぎたくないしなぁ。

 

境内も歴史を感じる趣き深い佇まい。こんな山の切り立ったところにこれほどの伽藍があるとは。まさしく修業の道場としての役割を担っていたものと思われます。深山でひたすらお念仏を唱え、また俗世間へとその教えを広げる。浄土宗のダイナミズムの動力源を見たような気がします。

「三鈷寺」の「三鈷」とは法具の「三鈷杵」のこと。「独古杵」「五鈷杵」などありますが、先が三つに分かれた杵ということです。マンガの孔雀王が手に持ってる短いやつが独鈷杵ですね。(実写版は三上博史にとって黒歴史なんですかね。)背後の三つの山を三鈷杵に見立てて名付けられた名前なんですね。

さて、このまま善峯寺経由で帰ろうと思ったところ、ショッキングな事実が!山門すぐの回転扉は、善峯寺→三鈷寺には行けるものの、逆は無理!ひえええ。きっと他のルートがあったり、頼めば鍵もあけてもらえるとは思うのですが、なるべく誰にも迷惑はかけたくないので、もと来た道を戻ることに。さすがにもう激坂を登る気にもなれず、トボトボ押して歩いて元の道に復帰。善峯寺ヒルクライムの道に復帰してヘロヘロのまま坂を下り、また40キロほどの道のりを走って帰りました。

途中道にも迷ったため、合計90㎞程度でしょうか。

午後だけのライドにもかかわらず、平地あり、程よい激坂あり、西山浄土宗の聖地巡りもできて、素晴らしい眺望まで見られて、大満足のライドでした。

 

本日の戦利品。

三鈷寺さんのお守り。やはりここは三鈷杵型のお守りは外せないでしょ!

お坊さんなのに、こういうミーハーっぽいところを忘れないのが、私のいいところだと思っています。