慈眼寺 副住職ブログ

くに

今日BSかな?テレビ見てたら、イタリアのピエモンテ州の番組やってまして。

おじいさんが犬と一緒に森に入って白トリュフを採る。それが市場で売られて、イタリア中からトリュフ好きが集まってきて、自分の好みのトリュフを買って帰るんですね。地元の人も収穫を楽しみにしてて、自分で買って、家に帰って、夫婦とか友達とかで集まって、自分の好きなパスタとかトウモロコシ粥みたいな料理にそれをかけて食べるんです。おろし金でおろして、う~~んって恍惚の表情で香りをかいで。また料理の手作りの過程も美味しそうで。

台の上で小麦粉の山作って真ん中にくぼみを作って卵やらチーズ入れて混ぜるんです。ああいう作り方って、素朴でいいなぁ。

お気に入りのワインなんかあけてね。美味しそうに食べてしました。

豊かだなぁ、と。

こういうのって、本当に豊かだなぁと思います。

地域が繋がってるじゃないですか。時間も人もゆったりしてて。イタリア人がみんなこんな生活してるとは思わないですけど、ちゃんとそこで採れた地のものを楽しみにしてみんなで食べる。こういうのって、日本の田舎でもどれだけあるか。

また森も豊かなんですよ。こんもりと茂っていて。ヨーロッパを電車で旅すると、森の深さにビックリします。本当に人っ子一人いない感じ。道路もろくになかったりして。日本の田舎の森は、結局林業のための場所だから。杉やヒノキしかないですから。色々なものが採れる生命力という点でどうなのかなぁと。松茸とか、昔はそのへんの山で採れたから、親父の小さい頃なんか別に高いもんでもなんでもなかったそうですが、今や、山の中入ったら、高圧電流で入山規制してますもんね。まぁ、白トリュフもきっと誰でも採らせてもらえるわけではないんでしょうが。

ただ、たとえば海の方の漁業権みたいに、地元の人なら海に入って採れるというような、そういう共有林とか里山的なものは、もはやほとんどないんじゃないですかね。土地は絶対に誰かのモノになってますから。ちょっとそこが世知辛い気がしますね。

どこかの美味しいものもちょっと観光用というか、外向けの「グルメ」で、地元の人が楽しんでるっていうのは、どれだけ残ってるのかなぁ。日本。

ドレスデンにいたときは、名物が「白アスパラガス」と聞いてガックリしましたが、毎日夕方になるとみんな川辺でビール飲んで本当にゆったりしてました。オペラ劇場では、ベランダでワイン飲んでる人いたし。チェコでも丘の上でビールを飲みながらバンドの生演奏とか。

日本でもビアガーデンとかあるんですけど、どこかちょっとせわしいと言いますか。

祝日増えてもかえって仕事溜まって忙しかったり、休日は結局混雑して全然休めなかったり。プレミアムフライデー?ですか?なんやそれみたいな。クールビズとかもそうだったんですが、お上に押し付けられてもなぁ。まぁおかげでスーツあんまり着なくてよくなって、そこは豊かになれた気がしますけどね。でもよく考えたら、暑いのにスーツ着せられてた方が異常だっただけなんですが。

もうちょっと不真面目でいいんじゃないかなぁとか。

ただでさえ暑かったり寒かったりが厳しい国なんで。みんなでもっと地元で鮎釣って焼いたり、キス釣って天ぷらにしたり。むかごや自然薯採って食べたり。都会行くと金はもらえるけどあんまり楽しくないから、もう田舎でゆっくりやるわみたいな。そういうの、もっと増えたらええと思うんですけど。都心にどんどん集中してるけど、田舎は田舎で豊かな生活ができるように。イオンに集まるんじゃなくてね。せっかくインターネットとかあるわけですから。

「地方創生」とか言って、田舎を都会っぽくしようと、無理やりお金突っ込んだり、でかいハコを作るのは、全然逆方向だと思いますね。田舎の方も都会からの客がカネ落とすのずっと待ってるのもちょっと違うなぁと。

もっと楽しんだらええのになぁと。ロードバイク乗っていってすごく楽しい場所では、住民はそんなもん乗ってないんですよね。海でも地元の人はあんまりサーフィンとかしないわけで。

高速道路とかあるせいで、都会の人だけいいとこどりできるんですよね。もう不便なままでええんちゃうのと。田舎は田舎で楽しくやるから、東京や大阪は、生き馬の目を抜くような環境でバリバリ一生分稼ぎたいような、ホリエモンみたいな人だけが目を血走らせて働く場所にして。

「何億円も要らんわぁ」という人は、田舎でのんびり暮らして、地元のもの食べてゆったり遊んで暮らせるような国になったらいいのになぁ。

国土を愛するとか口では言うてますけど、地方は搾取されるばっかりで。オリンピックなんかどうでもええんやけどなぁ。なーーんかね。

ずーっとこの国は百姓がお上に年貢を取られてひーひー言うてる、その構図のまま、それこそ貧窮問答歌の頃からずっとそのまんまな気がします。

「国」が大事な人も、「国」が嫌いな人も色々いるかと思いますが、どっちも必死で「国」を褒め称えたり、必死でけなしたりして、それに忙しすぎて、「で、その先どうしたいの?」って思うんですよね。頑張るからには理想がないとなぁって。

で、別に国の面積が増えたり、でかいハコが建ったり、オリンピックでメダルが獲れたりっていうのは、実はどうでもよくって。

家に帰って家族と美味いもん食って。

やっぱり家が一番だなぁ。この町はいい町だなぁって。思えたらもう御の字やんって。

別にアナーキストじゃないんですが、「国」とか言われてもピンとこんなぁ。

もう僕なんか奈良とまぁ北は三山木、南は郡山くらい。東は月ヶ瀬で西は八戸ノ里くらいまでが「国」でええですよ。ホンマ。南森町なんか外国やわ。京都の御所のへんとか貴族が住んでるとこ関係ないわ。勝手に祇園祭やってくれたらええわ。東京?なにそれどこの惑星?

まぁもちろん、こういうちっさい幸せを守るためには、むつかしいこととか、まじめなことを頑張る人たちが必要だってことは分かってるんですが。まぁとりあえずそれは僕ではないな、と(笑)

まぁそんなことを考えている、「世間」からセミリアタイア、副住職なのであります。不真面目御免ッ!