慈眼寺 副住職ブログ

「GUSTO、フル105で18万切るってよ」

男二人がカフェのテラスに居た。
コーヒーの芳香に満足しながら、二人はその日出会った「或るもの」について熱っぽく話していた。

「いやぁ。参りました。」

「参ったでしょ。」

「アレ、何なんですか。」

「何なんだろうねぇ。」

「どうしましょう。僕、アレ、夢に見ますよ。」

「でしょう?僕もそうでしたよ。」

そのあとの数十分。二人は尽きることなく、今日出会った「或るもの」について語り、バラバラの方向に去っていった。

 

二人がコーヒーを飲んだときから時間を遡ること、6時間前。

私は、前々から予定されていたロードバイクの試乗会に、職場の同僚であり、デローザのネオプリマートをこよなく愛する先生、通称「ネオプリ先生」をしつこく誘い、2年越しのお誘いをついに成就させて、朝から三山木Ragazziに向かいました。ただ試乗会だけでもつまらないねと、朝から軽く峠を越えて大正池を登りました。今日は秋晴れの暖かい日。「今日乗らな、いつ乗るねん!」とばかりに大正池は大賑わい。下りでは20人を超える人々とすれ違いました。ブーム、終わったのと違うの?とビックリ。

そして10時半。ついに始まりました!毎年恒例アクションスポーツ試乗会!いつもありがとうございます!

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毎年恒例ですが、今回の目玉は今年からRagazziが新規取り扱いをはじめる、異常なコストパフォーマンスを誇るカーボンバイク、GUSTO。
このクマはそのキャラのようです。

このGUSTO、去年あたりからチラホラ「GUSTO、フル105で18万切るってよ」と噂にはなっていましたが、あまりの安さに「んなアホな。怖いわ!」と信じてもらえなかった事情があります。あと、検索しても某ファミレスが強すぎて、上位に検索されない(笑)

しかし安いとは言いつつも、使っているカーボンは東レT-800。一部1Kも使っていると言いますから、現在のカーボンフレームの標準は完全にクリア。さらに安心のシマノ105をフルで装備しています。部分的にミックスしてブレーキやクランクを他社でお茶を濁したりしていません。愚直にフル105。これで178000円(税抜き)。詳しいことはアクションスポーツHP(アクションスポーツHP)で見て頂ければいいんですが、同じフレームのまま、コンポをフルアルテグラに変えて25万。同じくスラムのフォースに変えて28万。コレはちょっと、考えられない価格です。

しかもこのアルテグラ仕様のまんま、コンチネンタルチームに供給され、TOJにも出場しています。(あ。クマがいる。)

gusto
http://www.cyclowired.jp/image/node/181189

こんな値段でええもんのわけないわぁ~!と、言うことで、おそるおそる確認であります。

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草ぼうぼうのところで申し訳ないですが、コレは・・・

コレはイカン!

なにがイカンかというと、これよりダメな自転車で20万以上、どころか25万くらい平気でとってるメーカーは腐るほどあります。業界的に言いにくいけど、私ただの坊主ですので言っちゃいます。金返せー!

いやーコレは大手メーカー辛い。反応ええですよ。本当に。ショック受けると思います。十分な軽さがあります。完成車重量8kgです。十分です。あそこやあそこの同グレードの入門カーボンロードと比べ、フレーム・コンポ・ホイール、負けているところが正直、ない。

ただ、言いたいことは分かります。「夢がない。」

そこは正直に言います。憧れのコルナーゴさん、デ・ローザさん、ああいうところに憧れるブランド志向、舶来信仰は全然満足できない。フレーム形状にも、特に珍しいところもない。ですが、カーボンフレームというのは正直扱いにくいものです。ひび割れ、亀裂が怖い。一回こけてやっちゃったらアウト。だから、せっかく買った「決戦用バイク」もレースでは怖くて使えない、なんて本末転倒な事態もビギナーの正直なところ。レースに興味がなくても、輪行でもカーボンは気を遣う。せっかく軽いフレームでも、傷が怖くて大胆に使えない。通勤用に、別でクロモリ・・・なんてこともある。

そんなときこそ、夢はなくても、快適さと抜群のコスパのこのフレーム。私、このブログで何度か言っているように、「コスパ」って言葉は大嫌いなんです。でも、それでもここまで極められると、この言葉を使わざるを得ない。逆にコスパ、コスパと、念仏のように繰り返している方々が、なぜジャイアントやメリダには飛びつくのに、ここに飛びつかないのかは説明できない。だから敢えて嫌いな言葉を使いたい。

「コスパ最高や!」と。

例えば他社だとアルミフレームで9.5kgのグリーンなアイツがフル105で17万。もちろん「あのグリーン」へのロマンの料金が、8000円と重量1.5kgと振動吸収性を相殺して余りあるのですが(きっとそのはず!)、そんなチェレチェレしたもん要らね、という武闘派には選択の余地なし。

カラーもマットグレーが出ておりまして、そうなると、いまやどこも猫も杓子もマットグレーで「シンプルで精悍」とか言うてますから、「正体不明のシンプルなアイツ」として性能も十分な機体になります。上の写真のグリーンのフレームなんか、どことなくどころか、思いっきり「え?キャノ・・・」「ん?メリ・・・」とか思ってしまう色遣いですので、ゆっくり止まってメーカーロゴを眺めるのがお好きな方でない限り、「これでええやん。」となること請け合い。っていうか、自分の手持ちの25万支払ったカーボンロードより、下手したらよかったりして泣くという羽目になる、涙を生む機体であります。

そんなこんなで「カーボンキラーのアルミ」ならぬ、「カーボンキラーのカーボン」を堪能した私たちですが、真のメインディッシュは、私はすでに何度も乗っているあのフレーム。あれをネオプリ先生に味わってもらうこと・・・。

さて、どのような結末になりますか。

続きは次回!