慈眼寺 副住職ブログ

男たちのメロディー

はっしり~んだしたらぁ~何か答えが出るだろぉ~なんて、俺もアテにはぁ~してないさ~ してな~い~さ~♪

「お前幾つやねん」という歌の一節で始まりました。
「俺たちは天使だ」大好きだったんですよ。

さて、本日はけいはんなサイクルロードレースの日。

出場したんですか?って、

しません。

僕、お坊さんですよ。あらそいごとは苦手です・・・。

ですが今回、いつも仲良くして頂いているお友達が数人出場されるので、応援に行きたい。今まで見に行ったことないし、行きたい!でも土日はお寺が忙しい。そういうわけで数日前に住職にお願いして、「朝だけちょっと行っていいですか」とお伺いをたてると、お許しがでました。サンキュー!住職!

当日は自分が出るわけでもないのに朝早く目が覚め、1時間以上早くけいはんなプラザに到着。ちょっとコースを走ってみました。
既にレース前のゼッケンをつけた選手が試走中。殺気立った雰囲気の中フラフラ走っていて、居辛かったので、あっちへいこうと右によれると、すごく速い人がきて、

「コラ!危ないやんけ!」

ひいいいいいすいません!!!ホンマにすいません!生まれてすいません!

太宰治のような心境でコースを離れ、いつも休憩している自販機で一息。

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ちょっと先日思い立って若干模様替えしてみたんですよ。まぁそんな話は今日はどうでもよし。

スタート地点に戻ると表彰台がありました。
一生こんな台に上ることはないな。(確信)

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企業ブースも出ていて、賑々しい感じでいいですなぁ。レースっぽい。

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本気な戦闘バイクがズラリ。半分以上がディープリム。怖い。

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しばらくして待ち合わせていたお友達と合流し、坂を登る一番きついポイントで応援。
最初はカテゴリC2。アマチュアで一番速いカテゴリです。

速い。とにかく速い。

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あっという間にスイミーの群れのように集団が形成され、たちまちついていけなくなる人続出。

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いったん集団から切れるともう二度と戻れません。なんか競争社会の縮図のようで怖すぎます。
一般の方のために説明しますと、集団で走っていると、前の人を風よけにしてかなり楽に走ることができます。本当に、ビックリするくらい速度維持が楽になります。私は一度だけプロの人の後ろを走らせてもらったことがありますが、自転車人生で一番気持ちいい瞬間でした。

ですのでいったん集団から離れると、もはや復帰は至難の業。ほんのわずかな差が、あっという間に大きな差になってしまい、命取りになります。そして大きな差がつくと、野球で言うコールド扱いになり、足切りで強制的にレースから外されてしまいます。怖い。東大の入試か。それがレース結果(リザルト)で「DNF」と表示される状態です。要は「完走できず」ということなのですが、完走できなかったからといって必ずしもものすごく遅いというわけではないのです。ほんの少しの差で足切りと完走が分かれてしまいます。

そういうわけですので、みなさん必死で集団に残ろうとします。その結果、残ろうとする努力によってお互いが接近し、接触のリスクが増えます。下りではそれが露骨に出ますので、接触事故→落車のリスクが格段に上がります。そして落車が起こると、その前後で集団が分断されますので、これもまた足切りの原因に。落車に巻き込まれるリスクを回避するためには、集団の前の方に行かねばならない。前の方に出ようとすると、それがまた新たな衝突のリスクを生むディレンマ。怖い。怖すぎる。

そう思って集団を眺めると、違った感想が生まれます。

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ものすごい勇気をもって車間を詰め、しかし冷静にリスクを回避。ものすごい集中力です。

結果的にC2では下りで大落車が起こったようです。私の目の前ではなかったのですが、下りのスピードが出る区間で起こったらしく、60㎞/hを超えるスピードで落車が発生した模様です。救急車が来ていました。怖すぎる。これがあるので、観戦に娘は連れてきませんでした。何より大けがをなさっていないことをお祈りしています。

身体のことに比べれば些細なことなのですが、みなさんこの日のために高価な自転車に高価な決戦用ホイールで臨んでおられるので、落車による金銭的ダメージも極大です。おまけに会社の休みに趣味でケガなんかしたら職場で何を言われるか・・・。「モーレツ社員否定の日本に」とか安倍さん言ってますけど、かといって趣味三昧の釣りバカ日誌みたいな社員はこれまでもこれからも普通に否定されますので、そのへんはモーレツ!というよりキビシー!ですよね。

さて、まさにそのC2に出場していたお友達は落車に巻き込まれましたが、幸いにもお怪我はナシ。ただし結果としてDNFに。
もう一人のお友達はC3で出られていたのですが、こちらもDNF。

二人とも私からすると異次元の速さの人なので、「この二人が足切り・・・」と脇から嫌な汗が出ました。絶対出ねぇ・・・。

レース終了後、二人に声をかけようかどうか一瞬悩みましたが、声をかけました。一人は明るく「アカンかったわ!」とおっしゃってましたが、もう一人の方の様子がとても印象に残りました。

落車ではなく、普通に走ってDNFだったその方。いや、速いんです。一緒に走ったことありますけど、とにかく私のようなお気楽ライダーとは濃度も時間も桁違いの努力をされてこの日に臨んだ方です。奥さん子供を養いながら、朝は暗いうちから起きて練習し、普通に働いてまた練習し、お子さんのサッカーの試合があれば応援に行って、ちゃんとお父さんしながら頑張ってるんです。

その方がなんとも複雑な、曰く言い難い表情をしながら、一言、

「実力不足です」

と言ったんです。

これは心に沁みました。もうこの一言に万感の思いが籠ってます。
速い遅いじゃないんですよ。たまたま若くて才能があってギュンギュン走って表彰台に登る。これはこれですごいことだと思うんですよ。っていうか掛け値なしにすごいですよ。

でも、こういう色々背負った男の一言は沁みました。

たぶんこの会場で走ってる人はみんな何かしら背負ってらっしゃると思うんですが、それがクッキリ見えて、感動しました。

おっさんの一言にこんなにキュンときたことはなかなかないですよ。

ええもんが見れました。実にええもんが見れました。

 

自分でも出場したくなったか?って?

絶対出ねぇ。怖いよ。