慈眼寺 副住職ブログ

山陰旅①

さて、8月中は休みなく働きましたので、毎年、8月の月末は旅行に行かせて頂いております。
住職がまだ健在ですのでできることです。住職になりますとほぼ、不可能になります。思えば父と泊りがけで旅行に出かけた記憶は、人生で3回ほどしかありません。これはしかし「お寺の子あるある」でして、みんなこんなもんです。だから旅行は今のうちの贅沢かなと、住職の厚意に甘えて行かせていただいております。

昨年は京丹後の夕日ヶ浦で泳いで、小浜、若狭をまわり、仏像をひたすら愛でる旅。
今年は「鳥取の海もキレイよ」というお誘いで、鳥取の米子の海で泳いでから島根県まで足を伸ばす「ザ・山陰」というような旅であります。あっちは基本神々の領域なので仏像見学はナシにしました。私、岡山は大好きで、車中泊しながら3日間岡山を一人でウロウロした経験もあるのですが、鳥取・島根ははじめてです。

初日朝から津山経由で鳥取に向かいますが、やはり遠い。4時間運転ともなるとお尻が痛くなります。あと、最近流行りの大きいSAなんかもあまりなく、淡々と森と山とトンネルを抜けます。本当は真ん中あたりの佐用町で棚田でも見たかったのですが、時間がないのでひたすら運転。

蒜山の雄大な景色と「大山!」という感じの、若草山とはけた外れのスケールの山を通り過ぎて、ついに到着。YONOGOです。

インター下りてすぐのところに巨大な城が!これは・・・米子城???

米子

お菓子屋さんでした・・・。

でもかなり巨大でした。中に入ればよかった・・・。

皆生温泉で泳いで泊まる予定でしたので、そこで仲良くして頂いている母のお友達、というか僕の同級生のお母さんと落ち合う予定だったのですが、前を走る車が妙な動きッ!なんかやたらと手を振ってくる奈良ナンバー!よく見れば鳥取ナンバーだらけの道路で奈良ナンバーは浮き上がりまくっています。前を走っていたのがその方でした。

そのままお昼をご馳走になり、遠浅の美しい海で泳いで、私だけクラゲに2か所刺されました。

「こんな時期に泳ぐからや。お盆過ぎたらクラゲが出るにきまってるやん。」と言われそうですが、お盆前になんて泳げるわけがないので、仕方ないんです。「パンがないならケーキを食べればいいのに!」みたいな発言は悲しくなるのでやめてほしいッス。

泳いだあと、食事までの空き時間に、米子でどうしても行っておきたかった場所を訪ねました。

学生時代、たまたま見つけた革靴がすごく気に入って、ずっと大事にして履いています。革の風合いそのままの、一見武骨なのに、全体としては上品で、シンプルなのに思わず目に留まる、そんな靴です。その靴は「MOTO」というブランドの作ったもので、決して安くはなかったのですが、革製品のほかのメーカーに比べればずっと安く、革靴にありがちな敷居の高さも、形だけ革靴で、中身が伴わないものでもなく、「靴」というよりは「革を大事に使ったもの」という、そんな印象を受けました。MOTOブランド自体は、二人のご兄弟がそれぞれ小物・靴を作られているのですが、お二人のお父様が革の人形作家の本池秀夫さんです。今回旅行先に米子を選んだ理由の一つが、表参道にもあるMOTOの米子本店と、ギャラリーをたずねることでした。

急に振り出した雨のなか、ワイパーをマックスにして運転しました。

「奈良の人はなぜ傘をあまり差さないの?」

と、先ほどの米子出身のおばさんに言われたことがあるのですが、それは奈良の雨がすぐ止むから。ちょっと降っても、じきに止むから、走って家に帰ればいいやと思います。ですが、米子の雨はガッツリでした。こういう気候なら、そう思うわなぁと思いながら、MOTOのショップに到着。

MOTO1

想像してたよりこじんまりしていますけど、オシャレです。失礼ながら、米子にこんなお店が突然現れるとは。しかもかなり細い路地を入ったところにあります。

色とりどりの革靴が美しい。

MOTO2

MOTO3

MOTO6

え?何コレ?

MOTO4

なんとこの豹?も革でできているようです。お父さんの作品でしょうか。

MOTO5 

実はこのお店でビックリしたことが一つ。
店員さんと少し会話しただけで、「県外の方ですか?」と聞かれました。たぶん私の関西なまりがきついのでしょう。
それで「奈良からです」と答えますと、「実は私、あやめ池に住んでいたんです。」とビックリな展開。思わぬところでローカルな話に。まさか米子であやめ池の話をするとは・・・。

短い時間でしたがすごく楽しい時間でした。もう一軒、MOTOのアトリエ兼店舗が米子にあるのですが、そちらは土日祝しか営業していないそうで、旅の最終日に立ち寄ることになりました。

ちなみにMOTOのHPです。
http://www.motostyle.jp/

MOTOのあと、ほんの少しまわりを歩くと、なんだか鳥取らしかなぬ(失礼)、ここがオシャレなゾーンであることに気づきました。

米子1

いい感じのレトロビルです。元銀行の建物だそうです。

米子2

MOTOの小道から直角に曲がるとまたシンプルな服屋さんが。居心地が良くてなかなか面白いお店でした。奈良にはメンズのこんなお店はない。ないぞ。

米子3

なんだかなぁ。鳥取って「スナバはあるけどスタバはない(今はある)」的なネタで、正直ちょっと、街としてあなどっていた部分があったのですが、高島屋はあるし、奈良より全然オシャレなんですよ。あとで調べたら、たまたまMOTO目当てできたこのエリア、米子のめちゃくちゃホットなエリアだったんですね。下の記事に詳しく書いてありました。

https://www.machigenki.go.jp/146/k-1497

街づくりとはどうあるべきか?という問題が真剣に考えられていて、勉強になります。この点はまた後ほど、もうちょっと掘り下げるつもりです。

こうしてわずか1時間ほどで米子の若者向けのホットなエリアを急ぎ足で見て回って宿に帰り、夜は地元のバドミントンクラブにお邪魔して汗をかき、ようやく山陰旅行初日の床についた副住職でありました。いそがし!