慈眼寺 副住職ブログ

近大農学部攻めと森林浴

さて、先日、部を引退したOBが見事大学に合格し、私に相談をしてきました。

「先生、大学が坂の上にあるんですけど、先生みたいな自転車だとその坂、何分くらいで登れるもんですか?」

その大学は近大農学部。近鉄富雄駅からちょちょいでつきますが、結構な坂の上にあったはず。行ったことないが・・・

「坂、どのくらいで登れます?」

と聞かれたら、コレ、喧嘩売られてるっしょ。若中育ちナメんなよ!
と、いうわけで、仕事の合間に近大農学部に。

町中は避けて、以前308というパン屋さんに行ったルートから阪奈道路の高架を渡って、あっちゅう間につきました。

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農学部です。
部員の言ってる坂とは来たルートと逆なので、いったん下りてまた登るという明らかに不審な動きをしなければなりません。大学生っぽいならともかく、アラフォー中年がぱっつんぱっつんジャージで下りてから登る。不審者!

でも生徒思い(?)の先生の人体実験です。下ります。けっこう距離があります。勾配はたいしたことない。
最近乗れてないし太ってきてるし、ヒルクライム自体全然してないからなぁ~。どうかなぁ~。

下り切りましたが、どこをスタートと考えるかが微妙です。「坂の下から」と言いながらちょっと前の方からスタートしてタイムを縮めるとか下衆の極みです。分かりやすく、「近大橋」と書かれたバス停からスタートして、上のバス停までにしてみました。ヨーイ、スタート!

アレ?たいした勾配じゃないのに、なんかしんどいぞ。アカンなぁ。最近僕勝負してないなぁ。追い込んでる経験を日常化してない。ゆるんだ身体は正直だなぁ・・・。

ゼエゼエいいながら、不審な中年がバス停にゴール。タイム・・・4分32秒。遅ッ!

生徒にメールです。

「先生、頑張ったけど、4分32秒。で・・・でも、あと2回くらい登ったら4分切ると思う」

カッコつけっちゃった・・・。どうしよう・・・。カッコつけちゃった・・・。切れるのか?お前本当に切れるのか?

もう一回チャレンジです。

アカン。二往復はアカン。通報されるレヴェル。奈良新聞の片隅に乗りそうなリスク。
しかし男が一度決めたら、ときどきやる切るべきです。絶対とか言うたらアカン。みんな不幸になる。

十分休憩を取ってから、もう一度下りて、再スタート。

お、いい感じです。いいんじゃないですか?快調です。快調です。いい感じです。ゴール!タイムは・・・。

4分30秒。

2・・・2秒。私のプライドは2秒ぶん・・・。こんなん誤差やん!

これで私の心はサラサラの砂つぶになってしまい、「あと2回登れば」の「2回目」は今日はナシ!きょ、今日はこのくらいにしといてやるぜ!近大!

 

すっかり消沈した私は癒しを求めてまた富雄駅に戻ってきました。

ところで。

「パワースポット」という言葉のまわりにある妙に浮かれた雰囲気があまり好きではない私。
少し前にはどこもかしこも「パワースポット」と名付けて、一斉に大勢の方が押し寄せて、その場の雰囲気を台無しにすることがよくありました。

しかしそんな現象も、最近だいぶ落ち着いてきた様子。「パワースポット」という言葉もだんだん下火になってきた気がします。
で、富雄駅からほんのちょっと自転車に乗ると、びっくりするほど緑の深いいわゆる「パワースポット」的ないい感じのお寺があります。
「王龍寺」さんといいます。禅宗の黄檗宗のお寺ですね。ここが町からすぐなのに、すごくいい雰囲気なんですよね。

そういうわけで富雄川を北上し、生駒方面に向かいます。
あとは左に曲がるだけ、なのですが、ここで注意!

「王龍寺」と書いている石碑に出会いますが、ここで曲がってはならぬ~。

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コレです。コレ、自転車乗りにとってはトラップ!インディジョーンズで言うと、変なレバーです。触ったらダメなヤツ!

ここをまっすぐ行くと、突然アスファルト舗装がコンクリート舗装になり、突然の20%越え激坂が現れます。そこを登ると介護施設の横に出るのですが、突然すぎる上に、道も細く、枝分かれして不安なため、「コレでいいのか?」と不安なまま激坂を登るという拷問みたいな行為を強いられます。

この「王龍寺」の石碑を華麗にスルーし、「飛鳥カンツリークラブ」と書いている角を左に曲がりましょう。基本的に王龍寺と飛鳥カンツリークラブは隣接しているので、飛鳥カンツリークラブを目指せば、自然に王龍寺につきます。

しばらく登ると山門が左手に見えますが、さらに坂を登ると、王龍寺の南門、つまり本堂のすぐそばにいけます。この坂はそこそこ勾配があり、路面も荒れているのでちょっとだけ注意が必要です。このままいくと阪奈道路に合流するため、車もよく来るので注意が必要です。

さて、こうして癒しを求めて王龍寺に到着。

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 桜がだいぶ散ってはいましたが、綺麗に咲いていました。

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樹齢300年だそうです。

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森が深い。すべてこのお寺の敷地です。

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本堂です。南北朝期の磨崖仏が有名です。一度若いイケメン副住職さんに見せて頂きました。優雅で美しい仏さまでした。

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 そしてこの木々。林というより完全に森。
空気が澄んでいてすごく気持ちがいいです。とにかく木が高いので、変な言い方ですが、森の天井が高い。

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ここがさきほど通り過ぎた山門。立派です。

本当に空気感がいいところで、早朝にここで自転車で来て休憩するとリフレッシュできます。このへんは畑や田んぼばかりで田舎と言えば田舎ですが、それでも学園前からすぐの、奈良では町中の部類。セレブの集まる駅から少し自転車に乗れば、こんな静謐な空気に身を置ける。

有名なお寺ですが、観光客がワイワイくる感じではないので、穴場と言っては失礼ですが、東大寺や興福寺だけがお寺じゃないよという意味で、非常に落ち着いたいいお寺です。しかも秘境!って感じの山中何十キロも登った先ではなく、お気軽に登れるところにあります。本当にこのお寺、お気に入りです。

そういうわけで、農学部の坂に負けた心に「パワースポット」で「パワー」を注いで、新学期の為の英気を養った副住職なのでした。お粗末。