慈眼寺 副住職ブログ

法華寺 十一面観音

先日、秘仏開扉中の法華寺十一面観音さまを参拝に行ってきました。
ちょうど正倉院展にはかったように合わせて、法華寺にある2つの国宝を見ることができます。
お庭やらなにやら合わせて、期間中特別料金1000円になります。

法華寺1

開基は光明皇后。あの、聖武天皇の奥さん。この場所自体は光明皇后の出里、藤原氏の藤原不比等、あの大宝律令作成の有名人の邸宅跡になります。子供の頃から「法華寺」は佐保川小学校ができるまでの佐保小学校の校区ですので、よくこのあたりで小学校時代は遊びました。
ですが恐ろしいことに、「法華寺」「西大寺」がお寺の名前から来ているとは露知らなかった罰当たりなお坊さんの子でした。

法華寺自体は、総国分寺、東大寺と対をなす、総国分尼寺。宗派は意外なことに1999年に真言律宗から光明宗という独自の派に独立したようです。まぁ正確に言えば元の形に戻ったとも言えます。

 

法華寺2

 

華楽園はこの季節はちょっと寂しい。

法華寺3 法華寺4

何気なく、重文がゴロゴロしていたりしますが、イメージよりは規模が小さい感じもします。

法華寺5 法華寺6

本堂。角度により印象がわりと変わります。

そしてようやく本尊の十一面観音さまを拝むことができました。

法華寺7

もちろん写真撮影はできないので画像は「白洲正子 十一面観音の旅」からです。
実際は1mのサイズですので、実物は「思ったより小さいな」という印象なのですが、唯一無二のこの光背のセンス。脱帽です。
蓮で光背を作るという発想が前代未聞。優雅な肢体と気品のある相貌は「光明皇后のお姿を模した」という伝承に、見たこともないのにリアリティを感じてしまう慈しみに満ちたお姿。細部はリアルな造形で肉感的ですらありながら、全体としての印象は清楚で神々しい。長い手など観音さまの特徴的異相をすべてそなえていますが、様式美に陥ることがないのはなぜなのでしょうか。実に美しい。国宝、さもありなん、です。

これだけ蓮が特徴的なので、今以上に蓮を前面に押し出した感じで、一面の蓮池で囲んでしまうとか、もっともっと京都のお寺ならグイグイやっちゃう気がしますがそこは奥ゆかしい総国分尼寺。間違ってもこの光背の顔出しパネルを置くとかはやりません。

いやーしかし美しい。実に美しい観音さまでした。いいもの見たなぁ。眼福であります。
家の近くにこんなにいいものがあって、幸せ、幸せ。