慈眼寺 副住職ブログ

教育も変わる?

http://ict-enews.net/2015/09/01jsh-kindai/

以前5年ほど働かせていただいた近大附属高校がニュースになっていました。
私のお寺の仕事が増えるに従って、通勤時間がネックのために退職させていただきましたが、マンモス校なのに、働きやすくて生徒さんも多様で、とてもいい学校でした。最後は先生方にお花を頂いたり、教員同士の関係が深い、いい職場でした。

私のいる5年間だけでも、どんどん成績が上がっていた近大附属ですが、「近大マグロ」近畿大学の人気の上昇と、このIT授業導入、新コースの設立などでど んどん偏差値が上がっているようです。なにより高校入学時の志望大学に「関関同立」ではなく「近畿大学」と書く生徒さんの数がものすごく増えているよう で、近大の出願数日本一はダテじゃないなと思います。

それにしても全教室ホワイトボードなんですね。理科室なんかは電子黒板になっているとか。自分のよく知ってる教室がそんな未来的な教室になっているなんてなんだか不思議な気分です。黒板には黒板ならではよさもありますが、一つ確実に言えるメリットは部屋の掃除が楽ということでしょう。昨今アレルギーの問題もありますし。

しかしこの話題は「黒板かホワイトボードか?」という問いというよりはむしろ、iPadを全生徒に配布し、appleTVを導入したこととの関連性で考えたほうがいいでしょう。私がやめて数年後にiPadが導入され、教科書は全てタブレット端末に入っており、教科書を開く必要はなくなりました。ITに習熟している先生ですとパワーポイントなどを駆使して画面上で授業を展開してらっしゃいます。

さらに今話題の「反転授業」を試みておられる先生もおられます。生徒さんは自宅でタブレット端末で先生の授業の動画を見て問題を解いておきます。翌日学校の授業では、代表生徒がホワイトボードに解答を書き、その解答をiPadで映像として記録するなどグループで解答を共有して、復習に役立てているようです。ものすごく先進的な試みだと思います。「授業は座って先生の説明を聞くだけ」という概念を覆すものです。

昔から優秀な生徒なら自分で普通にやっていた「予習・復習・友達との相談」でも十分にできるじゃないか、なんて声も聞こえそうです。しかし自宅での学習時間がどんどん減っており、なおかつ友達同士の付き合いが希薄化表面化して、良くも悪くも「アクが強い」子が減った昨今では、こうして「優秀な学生の学習スタイル」をシステム化して、遊び感覚で楽しめてなおかつIT技術も高まるのなら文句はないかなぁと思います。ついつい古い世代は「俺の頃は・・・」ってやっちゃいますけど、今の子には今の子のやり方がありますから。

こういう流れが全国に広がるようだと、困るのはむしろ中途半端な知識しかない教員かなと思います。ネットで調べた知識をそのままコピーして見ながら喋っているようだと、授業中に生徒はWi-Fiで繋がったタブレットでネットと繋がって「あ、コイツググっただけやな」「Wikipediaそのまんまやん!」とがっかりされてしまうわけです。

祖父の書いたものなんかを読んでいると、本当に原典にあたってよく調べてあるなと父と感心しています。昔の人は何もないからよく勉強しました。よく読みました。書きました。あくまでインターネットは入口。その便利で広い入口を使って、実際にどこまで足を踏み出して調べるか。そしてそれをどのように表現するか。結局生徒さんにも先生にも、求められているのは昔も今も変わらない気がします。