慈眼寺 副住職ブログ

お寺狙いの詐欺や悪質営業について

詐欺

 

 

 

 

 

 

お寺で留守番をしていると、電話がよくかかります。

一番多いのが電話、コピー機のリースや、通信費用が「安くなります」という類のもの。あ、あと消火器ですね。有名メーカーの名前を少し変えて売りに来るやつ。
私はそもそも、

「電話や来訪で営業しにくる時点で、99.9%悪質業者」

という認識を持っています。いいものならほっといても誰かが買いにきます。
もちろんそうでない人もいるのでしょうが、リスクが高すぎますし、そもそもいいものはこちらからいくらでも探せる時代です。

開口一番「ご住職様はいらっしゃいますか?」これで残りの0.1%の可能性もなくなります。
これはつまり、「最終判断ができる人間に効率よく電話したい」という勝手な向こうの都合を最優先していることを意味しています。勝手にこっちの都合を考えず電話してくる上に、さらに向こうの都合で最短距離を狙ってきます。狙いは他にもあります。
お坊さんは社会経験がない人が多く、浮世離れしています。コピーや電話やパソコンのこともよくわかりません。さらに住職といえば「おじいちゃん」が多いです。よくわからないまま、「安くなる」という言葉に釣られて契約し、実際はリース代が法外だとか、保守費用が法外だということはよくあります。というか、ほとんどこの手口です。寺院ばかりをリストアップし、飛び込み営業専門のテレアポアルバイトの人が代わる代わる電話しますので断っても断っても無駄です。1000件かけて一件引っかかれば儲けもの。そういう発想でやっています。

電話の防ぎようはほとんどありません。何も考えていない機械がかけてくるのと同じですから、「住職はいません」なら後日かかってきますし、「要りません」でも断られたことを引き継ぐわけもありませんし、「名簿から外してください」と言っても来月にはいないような人に何を言っても無駄です。

他にも、慈善事業のふりをして寄付を要求する詐欺団体も数多くあります。相手の電話番号を登録して受信拒否にするという方法もありますが、キリがありません。かかってきたときに相手の社名を検索して詐欺性や悪評を確認してから心置きなく切る、ということが精一杯の抵抗ですが、そもそもこんなことをやっている時間が無駄、という悲しい事実の前にはあまりに無力です。それと、名乗っている会社名が必ずしも電話している人の所属会社とは限りません。「NTTの」と言っていても、NTTが外注している、下請け、孫請けの怪しい会社の電話勧誘員であることはざらにあります。

結局、掃除をやめて慌ててでた電話が詐欺だったことにすっかり気が重くなってもう一度掃除をする、ということを繰り返すしかないです。

お坊さんならば「人を騙すような仕事はやめなさいよ。お母さんが泣いてるよ。」などと諭したほうがいいのでしょうか。でも詐欺の人はお金が取れないとわかるとすぐに切ってしまい、虚しさだけが残りますし・・・。ペティークラークの法則の前に我々はあまりに無力。「安くなりますよ!」とか「もっと儲かりますよ!」とかいう「○○コンサルタント」とか、「○○プランナー」とか、「○○評論家」がこの世から消え、みんなが畑で野菜を作ったり、海で魚を採ったりする世の中になればいいなぁ、なんて。